MTGについて6
MTGについて6
誰もが一度は、神カードに出会う。
それはその人にとって最高のカードであって、必ずしもトーナメントレベルで強いカードではない。
むしろ使い物にならないことさえ往々にしてある。


その少年にとっての神カードは荒々しさの象徴であったワームと、


「なにこれっ!?超強えぇー!!やっべ、すっげー!!」


初めて購入したテンペストのブースターに入っていた、クラキリンであった。




とある商店街の一角、駄菓子屋の2階のトイショップを改装したその店は、フューチャービーといった。

自転車で40分かかるその店に、毎日のように入り浸っていた。


シングルカードやパックがそんなにしょっちゅう買えるはずもなかったが、壁掛けのショーケースに並んだカードを見ているだけで楽しかった。


店に慣れていくうちに、気が付く。
デュエルスペースの片隅にある、コモン箱と呼ばれる箱の存在に。


店に毎日通うような常連が何名もいた。


売り上げにほとんど貢献していない常連も多かったが、毎日当たり前のようにパックを開けては、大量のカードを排出している輩も居た。

そんな彼らがかさ張るコモンなどもって帰るはずもなく。

山のようなカードがコモン箱の中に放り込まれていた。

それはまさしく、勝手に中身が増えていく魔法の箱だった。

定期的に溢れかえるコモン箱は、欲しいものがあれば自由に持ち帰って良いとされていた。


常識のない僕は、全てリュックにつめて持ち帰った。


一週間も経てばまた箱は一杯になっていて、せっせとカードを持ち帰っては仕分けをした。

毎回1000枚以上はあったと思う。

シングルカードを見てレアリティを覚え、きちんとレアリティごとに仕分けをする(当時はレアリティごとの色分けが無かった)。
どんなに弱いレアでもファイルに飾り、使えそうなコモンやアンコモンはせっせとトレードに出した。


周囲に対して僕のカード資産はみるまに増えていき、常時持ち歩くデッキは10個近くになった。

デッキを考えるのが楽しくて、教室ではノートにデッキレシピを書き、家では山積みになったカードを漁りながらデッキを組んだ。


しかし、単純にたくさんのカードを所有していても勝てるとは限らないところがマジックの妙。

結局、僕の勝率はいつまでたっても芳しくなかった。


■MTGについて7
http://rattie.diarynote.jp/200904220029434117/

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