それはジャンプ連載の遊戯王がトーナメント最高潮だった時代。
僕らはマジックにのめりこんでいた。
けれども遊戯王にかぶれていた。
「よし、ハールーン・ミノタウルスを召喚!!」
「今だッ!リバースカード・オープン!!霊 魂 放 逐!!」
「な、なんだってぇぇ!?」
教室のいたるところで、遊戯王のような何かが繰り広げられていた。
「幻影獣で攻撃だっ!」
「甘いな。トラップカード発動!ドワーフのカタパルトで3点ダメージだっ!」
「そ、そんなっ!?」
そんな日常。
皆がカードに慣れ始め、単純で強そうなカードからクセのあるカードに目を向け始める頃。
ルールに詳しい人が居ない僕らのクラスは、よくカードの解釈で悩まされた。
「ねえねえ。鉄爪族の呪いってこれどういう効果なの?」
「なあ?再生って強すぎね?1ターンに1回までとかじゃねぇの?」
「神の怒りって、これ相手だけ破壊するんだよね?」
始めた張本人である僕自身、5版の説明書を何度も読んだ。
しかしリンボや連鎖といった概念はまったく理解できなかったし、
バンドやプロテクションを理解するのも大変だった。
そんなとき、クラスの仲間から、あるクラスではかなり前からマジックが流行っていることを聞いた。
昼休み、件のクラスを偵察に行く。
予想に反して、誰もカードを広げているヤツは居なかった。
「ねぇ。このクラスでマジックやってるやつ居ないの?」
顔見知りの一人を捕まえて問いかける。
「うちのクラスの先生厳しいんだよ。カードとか持ってきてるとぼっしゅーされんの。」
主に彼らは放課後、屋上へ続く階段や校庭の隅など、教師の目に付きにくい場所で活動しているようだった。
「俺らもマジック始めたんだけどさ。勝負しようって言っといてよ。」
挑戦は承諾され、あっというまの放課後。
一度も勝負したことのない相手との対戦にどきどきしながら、先行を決める。
デッキがそれなりにまとまりを見せ、自分はけっこう強いのではないかと勘違いしている時期。
序盤から自慢のクリーチャー郡を展開し、徐々に相手のライフを詰めるのに対して
相手は繁茂やはびこりなど、妙に弱そうなカードばかりをプレイしている。
たいしたことないな。
僕は楽勝だと思った。
そして。
「根切りワーム、召喚。」
「え?」
6/6トランプルという怪物が場に出る。
ひ弱なクリーチャー郡の攻撃が、ぴたっと止まる。
「ジョータルワーム、召喚。」
「大喰らいのワーム、召喚。」
「甲鱗のワーム、召喚。」
見る間に場は巨大なワームで埋め尽くされ、僕のライフは一瞬で消し飛んだ。
超強力な大喰らいのワーム・・さらに我がクラスに所有者が一人しかいない甲鱗のワームまで・・・。
強すぎる。とても敵わない。
というかこんな強いカードばかり使われて勝てるわけが無いじゃないか!
勝者を崇めることで己の敗北を正当化しながら、僕は心の中で、彼のデッキを「マッチのワームデッキ」と名づけた。
「じゃ、次俺と勝負な。」
別のヤツが挑んでくる。
「白騎士を召喚。」
「む・・氷河の壁を召喚っ!」
「じゃあ暁の騎士を召喚。」
「なに、コレ・・・2マナで好きな色のプロテクション!?強っ・・・」
優秀な騎士団の前に手も足も出ぬ我が軍勢。
その日、僕は完敗した。
だが、収穫は大きかった。
飛行は単に飛行を持たないクリーチャーからブロックされないだけの能力であることや、戦闘の進め方など様々な間違いを指摘された。
けれども、そんなことよりも
テンペスト最強!と自転車を走らせる少年が居た。
■MTGについて6
http://rattie.diarynote.jp/200903222156475477/
僕らはマジックにのめりこんでいた。
けれども遊戯王にかぶれていた。
「よし、ハールーン・ミノタウルスを召喚!!」
「今だッ!リバースカード・オープン!!霊 魂 放 逐!!」
「な、なんだってぇぇ!?」
教室のいたるところで、遊戯王のような何かが繰り広げられていた。
「幻影獣で攻撃だっ!」
「甘いな。トラップカード発動!ドワーフのカタパルトで3点ダメージだっ!」
「そ、そんなっ!?」
そんな日常。
皆がカードに慣れ始め、単純で強そうなカードからクセのあるカードに目を向け始める頃。
ルールに詳しい人が居ない僕らのクラスは、よくカードの解釈で悩まされた。
「ねえねえ。鉄爪族の呪いってこれどういう効果なの?」
「なあ?再生って強すぎね?1ターンに1回までとかじゃねぇの?」
「神の怒りって、これ相手だけ破壊するんだよね?」
始めた張本人である僕自身、5版の説明書を何度も読んだ。
しかしリンボや連鎖といった概念はまったく理解できなかったし、
バンドやプロテクションを理解するのも大変だった。
そんなとき、クラスの仲間から、あるクラスではかなり前からマジックが流行っていることを聞いた。
昼休み、件のクラスを偵察に行く。
予想に反して、誰もカードを広げているヤツは居なかった。
「ねぇ。このクラスでマジックやってるやつ居ないの?」
顔見知りの一人を捕まえて問いかける。
「うちのクラスの先生厳しいんだよ。カードとか持ってきてるとぼっしゅーされんの。」
主に彼らは放課後、屋上へ続く階段や校庭の隅など、教師の目に付きにくい場所で活動しているようだった。
「俺らもマジック始めたんだけどさ。勝負しようって言っといてよ。」
挑戦は承諾され、あっというまの放課後。
一度も勝負したことのない相手との対戦にどきどきしながら、先行を決める。
デッキがそれなりにまとまりを見せ、自分はけっこう強いのではないかと勘違いしている時期。
序盤から自慢のクリーチャー郡を展開し、徐々に相手のライフを詰めるのに対して
相手は繁茂やはびこりなど、妙に弱そうなカードばかりをプレイしている。
たいしたことないな。
僕は楽勝だと思った。
そして。
「根切りワーム、召喚。」
「え?」
6/6トランプルという怪物が場に出る。
ひ弱なクリーチャー郡の攻撃が、ぴたっと止まる。
「ジョータルワーム、召喚。」
「大喰らいのワーム、召喚。」
「甲鱗のワーム、召喚。」
見る間に場は巨大なワームで埋め尽くされ、僕のライフは一瞬で消し飛んだ。
超強力な大喰らいのワーム・・さらに我がクラスに所有者が一人しかいない甲鱗のワームまで・・・。
強すぎる。とても敵わない。
というかこんな強いカードばかり使われて勝てるわけが無いじゃないか!
勝者を崇めることで己の敗北を正当化しながら、僕は心の中で、彼のデッキを「マッチのワームデッキ」と名づけた。
「じゃ、次俺と勝負な。」
別のヤツが挑んでくる。
「白騎士を召喚。」
「む・・氷河の壁を召喚っ!」
「じゃあ暁の騎士を召喚。」
「なに、コレ・・・2マナで好きな色のプロテクション!?強っ・・・」
優秀な騎士団の前に手も足も出ぬ我が軍勢。
その日、僕は完敗した。
だが、収穫は大きかった。
飛行は単に飛行を持たないクリーチャーからブロックされないだけの能力であることや、戦闘の進め方など様々な間違いを指摘された。
けれども、そんなことよりも
テンペスト最強!と自転車を走らせる少年が居た。
■MTGについて6
http://rattie.diarynote.jp/200903222156475477/
コメント
俺の攻撃の邪魔をするな!みたいなw
そして転覆と禁止に出会うのですww